【京都伝統産業ふれあい館】職人との絆とwebを活用【京都府】part2
伝統産業職人が「自分で売る」態勢に
(公財)京都伝統産業交流センターには、もう一つ大きな役割があります。それは京都の伝統産業製品を「売る」こと。
平成24年3月にはインターネット販売サイト『京もの専門店 みやび』を開設。『京都伝統産業ふれあい館』とあわせてスタッフ9名で管理運営しています。商品の販売点数は約500点で、売上は約1600万円(平成26年度実績)。ネット注文客への対応のほか、国際会議等(MICE)の参加者に向けたオリジナル記念品の製作窓口にもなり、注文客と伝統産業工房とを結んでいます。
一方、『京都伝統産業ふれあい館』の館内で開催している伝統産業職人による実演イベントに「売る」という機能を平成27年度より付け加えました。
「職人さんがその場でお客様と金銭や商品のやりとりをしています。その旨事前に説明させていただき、理解してくださった職人さんに来ていただいています。もちろん反応はさまざまです。ぜひ協力したいと言ってくださる所もあれば、理解はしてくださっているものの仕事道具を物理的に動かせない所も」
また、工房に行ってみたいというニーズが一定あることから平成28年度には『希望者が京都の伝統産業職人のもとへ訪れられる』工房体験ツアー『京都工房コンシェルジュ』が新たに動き出しました。
「通常は非公開の工房見学・体験を(公財)京都伝統産業交流センターが特別にご紹介する試みです。当財団のスタッフが工房の一軒一軒を訪れ、時間をかけて理解していただき、実現に至りました」
4月に始まった『京都工房コンシェルジュ』は翌月、オプショナルツアー専門サイト『VELTRA』との連携も発表。20施設30コースを、ウェブを通じて申し込み・決済できるようにもなりました。
「どんな体験ができるかを簡潔に伝える印刷物も用意し、市内の各ホテルコンシェルジュ様や市内外の旅行会社様のもとへお届けしています。まだ始まったばかりですが、既に海外のグループからのお申し込みがありまして、後日、受け入れをされた工房におたずねすると『バリバリ買うていってくれた!』と驚いておられました」。
団体・個人問わず 積極的に情報を開示
そのほかにも「入口の視認性を高める」「京都でもっとも閲覧者の多い公式インバウンドサイト『Kyoto Travel Guide(Kyoto.travel)』へこまめに最新情報を提供する」など数々の工夫を積み重ねている(公財)京都伝統産業交流センター。『京都伝統産業ふれあい館』に興味のある観光業者を柔軟に受け入れ、京都の伝統産業について随時説明もしているそうです。
「これまでにタクシーのドライバー様が、空き時間を利用して一人で来られる、ということがありました。京都をご案内する際、ぜひ私どものことを思い出してくだされば、と願っています」
2020年の年間外国人宿泊客数300万人、観光消費額1兆円を目標に掲げる京都市(『京都観光振興計画2020』より)。その中には伝統産業を柱にした町づくり施策も含まれています。時代に合わせ伝統産業に触れる機会を創出している(公財)京都伝統産業交流センターでは今、「体験」や「買い物」をキーワードに、SNSを活用し数々の取り組みを進めていました。
取材を終えて
三重だと「伝統工芸」ですが、京都は「伝統産業」。その所以がわかる展示の量と歴史の重みが圧巻。感動して帰られるお客様。それでも「まだまだ、PR不足で」と挑まれ、新事業のことも快くお話いただきました。深謝。(編集長/川北)
取り組みPoint
集客
・分かりやすい施設入口づくり
・舞妓ショーの開催
・観光他業者への売り込み、情報開示
・tripadvisorランキング入り
・展示品解説の多言語化
体験
・伝統産業工房見学・体験ツアーの企画・斡旋
・職人による実演展示即売
・館内体験教室(摺型友禅)
シェア
・SNSへのレビューを促す掲示・チラシ
・寄せられたレビューに対する迅速な返信
取材地Data
京都伝統産業ふれあい館
住所: 〒606-8343 京都市左京区岡崎成勝寺町9番地の1 京都市勧業館みやこめっせ 地下1階
電話:075-762-2670
WEB:Facebookページ・トリップアドバイザー・公式サイト・Twitter・Instagram
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